BKP(経皮的椎体形成術)とは

BKPとは Balloon Kyphoplasty(バルーン カイフォプラスティ) の略称です。
骨粗しょう症などが原因で起こる背骨の圧迫骨折に対して行う、傷口が小さく体への負担が少ない手術です。
つぶれてしまった椎体(背骨の骨)の中にバルーン(風船)を入れて高さを回復させ、骨セメントで固定します。

そもそも「椎体圧迫骨折」とは?

背骨は積み木のように小さな骨(椎体)が積み重なってできています。 骨粗しょう症で骨がもろくなると、ちょっとした動作(くしゃみ・重い荷物・転倒など)でこの椎体がつぶれてしまうことがあります。 これを椎体圧迫骨折といいます。

骨折が起きると激しい腰痛・背中の痛みが生じ、体を動かすことが難しくなります。 骨折が複数回続くと背中が丸まって(亀背)、消化器や呼吸器にも影響が出ることがあります。

手術のしくみ(図解)

つぶれた椎体(背骨の骨)をバルーンで持ち上げ、骨セメントで固定します。

正常な椎体
椎体 椎間板 椎体 椎体
背骨が正常な高さを
保っている状態
圧迫骨折
椎体 骨折・つぶれ 椎体 ⚡ 強い痛み
椎体がつぶれて
強い痛みが生じる
バルーン挿入
バルーン ▲ 高さを回復
バルーンを膨らませ
椎体の高さを回復
セメント充填・完了
骨セメント ✔ 固定完了
骨セメントで固定し
痛みが改善
椎体(背骨の骨) 椎間板(クッション) バルーン 骨セメント

BKPのメリットと注意点

  • 傷口が小さく(約5mm)体への負担が少ない
  • 手術翌日から歩行できることが多い
  • 腰・背中の痛みが早期に改善しやすい
  • 長期の安静が不要で、寝たきりを防げる
  • 高齢者や全身状態が弱い方にも対応できる
  • すべての骨折に適応できるわけではない
  • 骨粗しょう症の治療も並行して必要
  • 隣接する椎体に新たな骨折が起こることがある
  • 手術後もリハビリや定期通院が大切

手術の流れ

1 全身麻酔をかける

全身麻酔で行います。

2 背中に小さな切り口をつくる(約5mm)

背骨の後ろ側から細い管(カニューレ)を挿入します。メスの傷口はわずか5mm程度です。

3 つぶれた椎体の中にバルーン(風船)を入れて膨らませる

専用のバルーンを椎体の中で膨らませ、つぶれた高さを回復させます。これにより脊椎の変形を矯正します。

4 バルーンを抜いてできたすき間に骨セメントを注入する

バルーンを抜いた後の空洞に、骨セメント(PMMA)を充填して椎体を固定します。セメントは数分で固まります。

5 手術終了・早期離床へ

手術時間は通常20〜30分程度です。翌日から歩行を開始することができます。

対象となる方

  • 骨粗しょう症による椎体圧迫骨折で強い痛みがある方
  • 安静や保存的治療(コルセット・お薬)でも痛みが改善しない方
  • 骨折が比較的新しく、MRIで新鮮骨折が確認できる方
  • 痛みで動けず、寝たきりのリスクがある方

よくある質問

全身麻酔で行うため手術中の痛みはありません。術後は傷口の痛みが少し残ることがありますが、多くの方が骨折による痛みが大幅に和らいだと感じています。

患者さんの状態によって異なりますが、一般的に数日〜1週間程度の入院が目安です。翌日から歩行を開始し、リハビリを行いながら退院の準備をします。

使用する骨セメント(PMMA)は整形外科領域で長年使用されており、安全性が確認されています。ただし、極めてまれに漏れや熱反応が起こることがあるため、手術中はレントゲンでリアルタイムに確認しながら慎重に注入します。

はい、必要です。BKPは骨折した椎体を固定する手術ですが、骨粗しょう症そのものを治す治療ではありません。手術後も骨粗しょう症の治療を続けることで、別の椎体での骨折を予防することが大切です。

はい。BKPは傷口が小さく体への負担が少ない手術のため、80〜90代の高齢の方にも行われています。ただし、全身状態や持病などを総合的に判断して適応を決めますので、まずは外来でご相談ください。