コンピューター技術を活用した人工関節手術について

当院では2025年4月より、日本人工関節学会認定医が在籍し、コンピューター技術を活用した膝および股関節の人工関節手術を行っています。技術の進歩により、手術の精度・安全性が大幅に向上し、患者様にとって多くの利点をもたらしています。

主なメリット

手術の精度向上

  • 3D術前計画ソフトウェアにより、術前に関節の形状や人工関節の適正サイズを高精度で評価・計画可能です。
  • 手術支援ナビゲーションシステムを用いることで、骨の切除や人工関節の設置角度をミリ単位で調整できます。

術後の合併症低減

  • 正確な人工関節の設置により、術後脱臼が少なくなります。

病気と治療法のご紹介

変形性股関節症

変形性股関節症は、股関節の形の異常や老化が原因で、股関節が徐々に変形していく病気です。発症すると関節の軟骨がすり減ったり、骨が変形したりして、痛みや動きの制限が起こります。加齢とともに次第に悪化し、いったん変形した股関節を元の状態に戻すことはできません。

● 手術治療法
  • 人工股関節全置換術(THA)
    金属・ポリエチレン・セラミック製の人工関節に置換する手術で、以下の特徴があります。
    • 低侵襲手術(MIS:Minimally Invasive Surgery)
      最小侵襲手術であるALS(仰臥位前外側アプローチ)により筋肉を温存できます。従来法に比べ、筋力の回復が早く、脱臼リスクも低減できます。
    • ナビゲーションシステム
      CTデータを基にした3Dシミュレーションにより、高精度な人工関節の設置が可能です。海外のデータでは脱臼による再手術の減少が報告されています。
    • 3D術前計画ソフトウェア(ZedHip)導入
      レキシー社の術前計画ソフトウェア「ZedHip」により、さらに詳細な3Dシミュレーションを実施しています。
● 関連リンク

「変形性股関節症」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/hip_osteoarthritis.html

変形性膝関節症

変形性股関節症は、関節軟骨の摩耗や骨が変形することにより、膝関節に痛み・変形・可動域制限が生じる疾患です。

● 手術治療法
  • 人工膝関節全置換術(TKA)
    金属・ポリエチレン製の人工関節による置換手術です。ナビゲーションシステムを活用し、高精度な手術を実現できます。
  • 高位脛骨骨切り術
    比較的変形の軽度な膝関節に対して、関節を温存する術式です。若年者やスポーツ愛好者など活動性の高い患者に行います。
● 関連リンク

「変形性膝関節症」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/knee_osteoarthritis.html

その他の導入システム

術中回収血システム

手術中に出血した血液を回収・洗浄し、患者様の体内へ戻すことで安全性を高めています。